南ア、濁川鞍掛沢霧の滝 「飛竜」

2018.02.12

武藤、荒木 (山梨アルパインクラブ) 記

60mダブルで終了点に木が無さそうなのでハーケンも用意(ノミックにハンマー装着)
何回偵察しただろう、、そして敗退もした、、でもそれって悪い事じゃないって確信しました。
なぜ？単純に感動が増幅されるんです！

2/1は2pまで行くも左の氷柱が落ちてメンタル敗退。
2/8にリベンジするつもりで2/7夕方期待して双眼鏡覗くも中間部の氷柱が落ちていて取付きもせず敗退。
飛竜って今年もダメなのかと落胆していた数日後、知り合いの知り合いの往年のクライマーが完登との情報を得る！
中間部登れるの？一瞬何がなんだかんだ解りませんでした。
詳しくはわからないが登れると知った以上、行かないなんてありえない！
前日に武藤君に必死の願いで了承をもらい決行。
飛竜はロープが凍るので完全ドライのダブルロープを購入した。xドリーム、ダート、ロープ、全て飛竜の為に買ったんだ！
絶対完登してみせると誓って臨みました。

4：30ゲート前集合して先日降った雪のラッセルスタート。武藤君が先を行ってくれた。なんていいヤツだ！
雪の為アプローチに時間がかかって8時前登攀開始。
少し日差しがあり、天気悪くなれ??と祈りながら1p、2pと順調に伸ばしましたが上の氷柱落ちたらと考えると怖い。
極悪の3p直下へ行くとそこはツララとハング(もはやルーフ)の世界が広がっていました。
この状況だとフォローも命にかかわるので武藤君に5m上のハング岩下に移動してもらいました。
さて此処からどうやって突破するか考える。
行けそうなのは正面のツララの間か、崩落が怖いツララを右にトラバースして表へ周りこむルート。
スクリュー打った氷柱ごと壊れれば命ないかな?　と考えつつ、正面はハングにも限度があるので却下。
氷でこのルーフは初めて見ました。
で右から巻きました。途中2箇所ハングがあり当然アックステンションしました。
言っときますが死にたくはありませんので絶対落ちないが優先事項です。
二番目のハングを超えた時は、バーチカル安心出来る！　とかなり麻痺っておりました。
そして終了点に着くと同時にヤッタ！の絶叫。ほんとに嬉しくて山で初めて涙が出てしまった。
強い方はたかが飛竜で涙かいって思われそうですが、なぜか飛竜に対しての思いが強くて、、、
多分簡単じゃ無かったから失敗しているから余計に感動したんだと思う。
正面には白州の町と右手には日向山山頂が見えた。
そういえば山頂から飛竜丸見えだったな！と思いつつ、大きい岩にスリングとアックスで補強してビレイ。
武藤さんも無事完登してガッチリ握手しました。
下降は左岸の木を使いましたが少し左過ぎたのか空中懸垂で下の氷に届かない。
ハーケン覚悟したが幸い右に立木があり、振り子とアックス引っ掛けでギリギリ木に到着。もう一回懸垂でザックデポ地点に着地しました。

武藤さんのおかげで登れました。直前にもかかわらず了承してくれありがとう！